墨文字の世界
あの阪神淡路大震災のあと、神戸から大阪へ移住。
生活環境もなんとか落ち着いてきた頃から今に至るまで、ずっと通い続けている散髪屋さんがあります。
当時、よちよち歩きだったお子さんたちも、もうすっかり成人。
一女一男の息子さんの方は、お父さんの後を継ぐべく、父子で仲良くお店を切り盛りされています。
6月か7月か、ちょっと忘れてしまったんですが、その息子さんと話をしていて、談たまたま「カリグラフィー」と「切り絵」の話題になったんですが、その時、息子さんが、実は書道を習っているということが判明。
師事されている「竹内緑泉先生」は、四條畷在住の書家の方で、作品集も出されているということ。
手持ちの1冊を見せていただきました。
子供の頃に、やっておいたらよかったと、つくづく後悔しているのが「書道」…
ま、うちは貧乏でしたので、そんな余裕はなかったんですが、どういうわけか、「文字」を書くのは大好きなので、学校の授業でも、数少ない「書道」の時間は楽しみでしたね。
それが高じて、今はカリグラフィー をしているということなのかもしれません。
(ちなみに、カリグラフィーも、日本語訳は「書道」です)
それでも、「筆文字」の世界は、自分でやるには敷居の高い世界になってしまってます。
そういうこともあってか、機会があれば「書画展」へたまにフラッと顔を出すことがあります。
漢詩・漢文も好きってことも影響しているのかもしれません。
と云っても、その方面に素養があるとかってことではなく、ほんとにシンプルに「好き」ってだけなんですが。
文字のある風景は、それだけで気持ちが和むことが多いですし、「墨文字」の世界は、その場にいると気持ちが落ち着いてきます。
「書作品」集も同じで、見せていただいた竹内緑泉先生の「書作展」集も、目に入る作品たちがス〜っと心に入ってきます。
あれこれ感心していると、息子さんから、その1冊をいただいてしまうことになりました。
ありがとうございます♪
家でも、時たまページをめくりながら、竹内緑泉先生が書かれた作品を眺め入っております。
特にお気に入りの作品をいくつか、こちらにアップさせていただきますね。
盛唐の詩人・李白の「送友人」
青山(せいざん)は北郭に横たわり
白水(はくすい)は東城を遶(めぐ)る
此地(このち)一たび別れを為さば
孤蓬(こほう)万里の征(せい)
浮雲(ふうん)游子の意
落日故人の情
手を揮(ふ)り茲(ここ)より去らば
蕭蕭として班馬鳴く
緑の山が町の北側に聳え
白い河が町の東側をめぐって流れている
この地で一度お別れをしてしまったら
旅立つあなたは蓬の種が風に飛ばされるように
遠くへ行ってしまう
空に浮かぶはぐれ雲は 旅人の心を表しているようだ
沈もうとする夕日は 私の感情を表しているようだ
手を振ってここからあなたが去ろうとしている今
まだら馬までもが寂しそうに鳴いている
明代初期の詩人・高青邱の「送呂卿」
遠汀(えんてい)斜日(しゃじつ)思い悠々
花は離觴(りしょう)を払い 柳は舟を払う
江北 江南 芳草(ほうそう)遍(あまね)し
君を送って 併(あわ)せ得たり 春を送るの憂い
遠い渚に夕陽が斜めに差し 悠然とした思いが込み上げる
花は別れの杯を払って散り 柳は舟を撫でかすめる
江北でも江南でも そこらじゅうに草が茫々と茂っている
君を送ることで 春の憂をも拭い去ることができた
盛唐の詩人・王維の「雑詩」から
君は故郷より来る
応に故郷の事を知るべし
来たる日綺窗(きさう)の前
寒梅花を著けしや未だしや
已(すで)に寒梅の發(ひら)くを見
復(ま)た啼鳥(ていちょう)の声を聞く
愁心春草を視て
玉階(ぎょくかい)に向かって生ぜんことを畏(おそ)る
あなたは(私の)故郷からいらっしゃったので
きっと故郷の事をご存知でしょう
あなたが旅に出られた日に あの人の窓辺に
寒梅はもう 花をつけていたでしょうか
寒梅が昨今咲いたと思ったら
鳥の囀りも聞こえてきました
あなたに逢えぬまま心は愁うばかりで 萌え出た春の草をみて
やがて逢えぬまま階(きざはし)まで生い茂るかと心配なのです
ラストは、北原白秋の短歌
君かへす
朝の舗石
さくさくと
雲よ 林檎の
香のごとくふれ
君を帰そうと見送っていると、朝の敷石の上に雪が落ちてくる。
雪よ、林檎の香りのように降っておくれ。
ロマンチックですね。
駄句を一つ…
白秋の
恋の文目(あやめ)に
笑み寄せて
からたちまでも
匂いぬるかな
この竹内緑泉先生とその門下生の方々が、12月半ばに作品展をされるということです。
場所は天王寺。
タイミングを見て、行かせていただこうと思ってます。
さて…
今月の読書は4冊で終了。
忙しい限りで、想定通りになってしまいました。
こういうのは、想定に反してほしいですね(^◇^;)
が、来月は、久しぶりに多めに読めそうです。
読書の秋でもあります。
とりま、目指すは7冊かな。
10月もありがとうございました。
来月もよろしくお願いいたします^^
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