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2009年6月25日 (木)

クチナシの花。。。

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街中で、クチナシの花が白く咲き乱れる季節です^^
紫陽花とほぼ同じくらいに開き始めるクチナシの花が、結構昔っからスキでした。
それが、より気になるようになったのは、ビリー・ホリデーの生涯のことを知ったときからだったように思います。

黒人女性ジャズヴォーカリスト ビリー・ホリデー♪

十数年前だったか、テレビで彼女の特集をしていたことがありました。
黒人であるという理由で、云われ無き人種差別を受け続けたことに対するささやかな抵抗と、白人への憧れをも込めて、あの真っ白に咲くクチナシの花を髪に飾って歌った・・・テレビでは、そんな風に云ってたと思います。そして、それが、彼女のトレードマークにもなったとこのこと。

それから、毎年、この季節になると、甘い香りを放って真っ白に咲くクチナシの花が、かなり気になるようになったわけです。見るたびにビリーを思い出します。

ビリー・ホリデーのことは、かなり前から知ってて、意味もわからないままも、彼女のあの痺れるようなブルースを聴き入っていたものでした。
もう、ホントに聴き入っていたのですよ^^
サラ・ボーンやエラ・フィッツジェラルドもスキですが、自分の中では、ビリーはダントツの地位にいます。

そんな中、2年前に、たまたまアマゾンで種々検索してたときに見つけたのが、

奇妙な果実―ビリー・ホリデイ自伝 (晶文社クラシックス)

訳が、大橋巨泉さんというのが、またよろしい^^
即購入したのですが、買ったまんま、ずっと積読状態・・・
それが今年、クチナシの花が咲き始めたのを機に、なぜか読んでみようと手にとって一気に読んでみました。巨泉さんの訳、読みやすかったです。

(ちなみに今月は、それなりにイイ本を読めています。
アイヌのチカップ恵美子さんの編著「森と大地の言い伝え」 なんかも、心洗われる名著の一つ にあげられると思います。興味のある方は読んでみてくださいね^^)

彼女の44年の短い人生は、麻薬と人種差別の渦の中での、苦悩と闘いの連続と云っても過言ではありませんでした。
それは、生まれてからそうであり、死んでからも続いた熾烈なもので、これが、「レディー・デイ」とまで云われた、ジャズ史上最高の名歌手の生涯とは、とうてい信じられないくらいのものです。

ネットで調べれば、それなりにいろいろ検索できるので、詳しくは書きませんけど、自分が忘れられないのは、彼女の死の前後のこと。

容態が悪化し、病院に運ばれたものの、かなり長い時間、廊下に置かれたベッドに放置されたまま・・・
死んでからも、長らくベッドに横たえられたまま・・・
自分の墓が作られて、埋葬されたのは、亡くなった翌年のこと・・・

この話を思い出す度に、溜息とともにやりきれなさを感じてしまいます。

でも、彼女のすごさは、今も、「ジャズ史上最高の名歌手」の地位を、誰にも揺るがされていないことでしょうか。

「いじめ」を含めての「差別」は、結局は悲劇しか生まないのだってことが、もっともっと浸透されれば、今の世の中、少しでも生き易くなるのにって、シンプルに思います。
そういう自分は、おめでたい人間でしょうか・・・
それでも、微力ながらも、ささやかであっても、何がしかの言動ができる自身でいたいと思います。

ビリーの名曲は数多く、その中でも、一番スキなのが・・・

「Strange Fruit」

作詞は Lewis allen

Southern trees bear strange fruit,
Blood on the leaves and blood at the root,
Black bodies swinging in the southern breeze,
Strange fruit hanging from the poplar trees.

Pastoral scene of the gallant south,
The bulging eyes and the twisted mouth,
Scent of magnolias, sweet and fresh,
Then the sudden smell of burning flesh.

Here is fruit for the crows to pluck,
For the rain to gather, for the wind to suck,
For the sun to rot, for the trees to drop,
Here is a strange and bitter crop.

自分は、邦楽でも洋楽でも、ほぼ歌詞を読むっていうことをせず、いつも聴くだけなのですが、20代の頃、この歌の内容を知ったときは、少なからずショックでした。

でも、いつか、この歌詞をカリグラフィーで描いてみたいと思います。

来月の17日は、ビリー・ホリデーが亡くなって、奇しくも50周年になります。

冥福を祈りつつ・・・

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コメント

犬の散歩をしていてクチナシの甘い香りが漂ってきて、沈丁花や金木犀の花ともども
あの香り、とても好きです^^

ビリー・ホリディさん、知らなかった…。
でも先日亡くなったマイケル・ジャクソンと重ねてしまいました。
若くして成功を納めると、それと同時に、大切なモノまで失っていくような気がしてなりません。
生き急いでしまったのでしょうね。
でもそういう強烈な生き方をした方は伝説となって蘇ってきます^^

彼や彼女らが残した音楽は、生きた証でもあり
永遠に人々を感動させる事が出来る。
それもまた、幸せな事なのでしょうね。

投稿: まさっぺ | 2009年6月27日 (土) 21時44分

まさっぺさん。。。

まさか、こんな暗い内容の日記にコメントつくとは思ってなかったです( ;^^)ヘ..
びっくりです。
ありがとうございます。

クチナシ 口無し 朽無

いろいろ表記があるみたいですね^^


ビリーのことは、若い人はあんまり知らないかな~って思いますよ^^
生きていくうえで、何が大切なのかってことを、ビリーにしてもマイケルにしても、それぞれの生き方を通して、教えてくれているのかもしれないですね☆
その思いが大きいからこそ、ずっと長い間、たくさんの人に、聴かれていってるのかもって思ったりもします。

表面上は悲劇のように見えても、根底で揺り動いているものは、きっとすさまじいものがあるのでしょう。

今夜も聴きます^^♪

投稿: mysticlaw | 2009年6月27日 (土) 23時35分

先週、私の祖父が他界しました。

たくさんの花の中で眠るその表情はとても穏やかで、この世に生まれ来る時は大きな産声を上げて誕生する私たち人間も、その終焉はとても静かなものだと思いました。

花、私が花に目をやるときに、花もまた私を見つめているように感じます。もしかすると、私が目にするそれらは、大好きだったおばあちゃんや、今はこの世を去ってしまった人たちの生まれ変わりで、姿を変えてだけど同じまなざしで、私を見ていてくれてるように思います。

遠い昔の人のように思える、彼女(ビリー)もくちなしに姿を変え、毎年思い出してくれるmysticlaw様の心のドアをノックしてるのかもしれないですね。

そう、信じられる自分でいたいです。

投稿: ひかり | 2009年6月29日 (月) 18時22分

ひかりさん。。。

そうなのですか・・・
近しい人が亡くなるというのは、とても哀しいことです。
自分もこの3年ほどで、親族・友人・知人が相次いで亡くなって、かなりがっくりきてた時もありましたよ。10人近くもいます。
でも、亡くなられた人たちへ、何が出来るのだろうって考えたとき、一番いいのは、残された自分たちが、その人たちの分まで、一生懸命に生きていくことかなって思うのです。


こんな詩があります。

終に往く 道とは
かねて 聞きしかど
昨日今日とは 思わざりしを

人間、明日のことなんかわかりません。
今日会った人とは、もう二度と会えないかもしれない。
それなら^^少しでも、その一人一人、1回1回の邂逅や出来事を大切にしていけるような、そんな人生でありたいな~って思っています。
それは、かなり難しいことでもありますけど・・・
でも、少なくとも、気持ちだけはそうありたいって思います。

ビリー・ホリディ♪
レディー・ディとも呼ばれたジャズ界の巨匠も、どこかでたくさんの人たちを感動させる歌を歌っているのかもしれないな~って^^ ひかりさんのコメントを読んでいて、なんとなくそんな気がしてきましたよ。
ありがとうございます♪

にしても・・・ひかりさんまで、こんな暗い日記にコメントつけてくださって、感謝感謝です☆

投稿: mysticlaw | 2009年6月29日 (月) 20時46分

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